仲間がやる気を出してくれません。【アデアのやる気相談バー】
ここは、魔王にやる気を奪われた人々の世界。
とある街の酒場「アデアのバー」では、今日もまた一人、やる気のことで悩める男がグラスを傾けていました…。
うーん、ダメだこりゃ…。
ずいぶん参ってるわね、ジュン。
さては、パーティーの仲間たちのことで悩んでるの?
そうなんですよアデアさん!
はぁ、な〜んであいつら、あんなにやる気ないんですかね…。
ちょっと面倒なモンスターが現れたらすぐ逃げるし、なかなか次の目的地に旅立とうとしないし。
あはは、まぁ、そんなもんなんじゃない?
「そんなもん」じゃないですよアデアさん!
大事なときくらい、がんばってやる気を出すべきじゃないですか⁉︎
あー、思い出したらまた腹立ってきた!
アデアさん、もう一杯!
はいはい。
…あら?お酒が出ない?
…もしかして、樽がもう空なんじゃないですか?
んもう、なんで大事なときに出ないのかしら?
がんばれば出るんじゃないの?えいっ、えいっ!
あはは、それはムリですよアデアさん。
無いものは無いんですから。
……そうよね、ムリよね。
ねぇ、ジュン。
あなたがメンバーに言ってるのも、もしかして今私が言ったことと同じことなんじゃない?
えっ?
知ってる?
やる気って実は、量に限りがあるんだって。
やる気が、有限…?
ええ、だから彼らはもしかしたらやる気を「出さない」んじゃなくて、実は出したくても「出せない」のかもしれない。
そう、まるでこの空になった酒樽のようにね。
……!
やる気は、有限ー
それはジュンにとってはにわかには信じがたいことでした。
なぜなら、やる気は誰にも無限に備わっており、それを本人にが出すか出さないか。
それだけのことだと認識して、これまでジュンはやってきていたからです…。
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